【映像記録】四国災害対策ローカルネットワーク 情報共有 in かがわ II :藤丸 剛氏 講演「災害と災害支援」レポート

【映像記録】四国災害対策ローカルネットワーク 情報共有 in かがわ II :藤丸 剛氏 講演「災害と災害支援」レポート

イベント名 四国災害対策ローカルネットワーク 情報共有inかがわ PART II
開催日時 2026年2月6日(金)14:00〜16:30 ※第2部 講演「災害と災害支援」by 災害支援TEAM B-DASH 代表 藤丸 剛氏
会場 かがわ国際会議場(香川県高松市サンポート2-1)
主催 四国災害ボランティアネットワーク

四国災害対策ローカルネットワーク主催で開催された「四国災害対策ローカルネットワーク 情報共有 in かがわ」において行われた 藤丸剛氏の講演の映像記録のお手伝いをしてきました。災害支援の現場で何が起きるのか、そして私たちは平時から何を備えておくべきかを、 非常に具体的かつ実践的に伝える内容でした。

阪神・淡路大震災を原点に、長年にわたり各地の災害現場で活動してきた藤丸氏は、 能登半島地震や水害の現場写真を交えながら、命を守る初動、生活再建のための技術、 そして地域で助け合う力の重要性についてお話しくださいました。

講演動画

講演全編は上記動画よりご視聴いただけます。

「今日、今、起こるかもしれないっていうことも考えてほしい」 “I want you to think that it could happen today, even right now.”

災害支援に向き合う原点

藤丸氏が災害支援の道に入る原点となったのは、31年前の阪神・淡路大震災でした。 高校3年生の時、支援物資の搬送を手伝う中で、苦しむ被災者の姿を目の当たりにし、 「人が生きるために何が必要なのか」を強く考えるようになったといいます。

その中で特に強く実感したのが、水の大切さでした。 飲み水として、生活用水として、水があるかどうかは生死や生活再建に直結します。 その思いから水道業の道に入り、その後は工務店として住まいの再建に関わる技術も身につけていかれました。

災害支援 TEAM B-DASH 代表 藤丸剛氏

会場で講演する藤丸剛氏。長年の現場経験に基づく言葉が、参加者に強い印象を残しました。

English Summary

Mr. Fujimaru explained that his disaster support work began with the Great Hanshin-Awaji Earthquake. Seeing the suffering of survivors led him to focus on water, housing, and the practical skills needed to help people rebuild their lives after disaster.

能登半島地震の現場で見た現実

能登半島地震の現場

講演では、能登半島地震の発災後、藤丸氏が現地入りするまでの判断についても語られました。 発災直後にすぐ飛び込むのではなく、2日間かけて物資を準備し、 先に入った仲間と情報共有を行いながら、警察・消防・自衛隊の動きも踏まえて現地入りしたそうです。

災害支援は、善意だけでは成り立ちません。 現地の状況を把握せずに動けば、かえって被災地の妨げになることもあります。 だからこそ、技術系の支援団体は情報をつかみ、本当に必要とされる場面を見極めながら動くことが重要だと強調されました。

現地では、道路が寸断され、倒壊家屋や落下物が通行を妨げ、 いつ余震で新たな被害が起きてもおかしくない状況が続いていました。 そのような中で優先されたのは、人命救助、通行路の確保、物資輸送のための道路啓開でした。

「道って、もう道じゃないです」 “The roads were no longer roads.”
能登半島地震 現地道路の様子

道路寸断や倒壊家屋など、災害直後の現場では移動そのものが命がけになります。

English Summary

He described the reality in Noto: broken roads, collapsed buildings, and dangerous aftershocks. Disaster support requires preparation, coordination, and timing. It is not enough to act with goodwill; support must match the real conditions on the ground.

被災直後に最優先すべきこと

発災直後はまず状況確認から

藤丸氏が繰り返し語ったのは、まず自分の身の安全を守ることでした。 台風や大雨はある程度予測できますが、地震や竜巻はいつ起こるか分かりません。 だからこそ、「今この場で起きたらどう逃げるか」を日頃から考えておく必要があるといいます。

自宅や勤務先、地域の施設にいる時に災害が起きた場合、 どこへ逃げるのか、誰と合流するのか、どの道が危険なのか。 ハザードマップは大切ですが、大規模災害ではその通りに動けるとは限りません。 そのため、家族同士で「大きな災害が起きたら、ここに集まる」という具体的な集合場所を決めておくことが大切です。

また、大規模災害時には電話がつながらないことも多くあります。 連絡が取れない前提で、家族や地域の中で行動基準を共有しておくことが、 初動の混乱を減らす大きな助けになります。

「被災したら、まず自分の身の安全最優先で」 “When disaster strikes, your first priority must be your own safety.”
English Summary

Mr. Fujimaru emphasized that personal safety comes first. Families should decide evacuation routes and meeting points in advance, because major disasters can make normal maps, roads, and phone contact unreliable.

片付けの前に、被害の記録を残す

被災したらまずどうするか

被災後、多くの人は一刻も早く片付けに取りかかりたくなると思います。 しかし藤丸氏は、その前に必ず建物の被害状況を写真で残してほしいと強く訴えました。 外観、室内、破損箇所、水の浸水ライン、屋根や壁の損傷など、 できるだけ多くの角度から記録することが、その後の罹災証明や保険申請で大きな差につながるからです。

「片付ける前にまず建物とかの被害の状況の写真をたくさん撮ってください」 “Before cleaning up, please take as many photos as possible of the building damage.”

さらに、罹災証明の判定についても、 一度の調査結果に納得できなければ不服申し立てが可能であると紹介されました。 見る人によって判定が変わり、支援金額が変わる場合もあるため、 「おかしいと思ったら再調査を求める」ことも、生活再建のためには重要な行動になります。

記事のポイント

  • 片付けの前に外観・室内・破損箇所を多角的に撮影する
  • 浸水高や倒壊方向、設備破損の状況も記録しておく
  • 罹災証明の結果に疑問があれば再調査を求める
English Summary

One key message was to document the damage before cleaning up. Photos taken from multiple angles can affect disaster certificates, insurance claims, and the level of support a household may receive later.

本当に困るのは「トイレ」と「近所のつながり」

被災して一番困るのはトイレ

講演の中で特に印象的だったのが、トイレに関する指摘でした。 水や食料の備えは意識されやすい一方で、災害直後に深刻化しやすいのは排泄の問題です。 どれだけ食事を控えても、人は排泄を止めることはできません。 そのため、簡易トイレやプライベートテントなどの備えは、食料と同じかそれ以上に重要だと語られました。

「一番やっぱ困るのって言うたら、ほんまにトイレ」 “What becomes the biggest problem, really, is the toilet.”

もう一つ強調されたのが、近所付き合いの力です。 大規模災害時、ボランティアがすぐ来るとは限りません。 特に沿岸部など被害の大きい地域に支援が集中すれば、 それ以外の地域では家族や近隣住民だけで、しばらく乗り切らなければならない場面も十分にあり得ます。

だからこそ、平時から地域で顔の見える関係をつくっておくことが、 いざという時の「共助」につながります。 藤丸氏は、昔のような近所の声かけやつながりが薄れている現代だからこそ、 日頃からの関係づくりが必要だと訴えました。

English Summary

He stressed that toilets become one of the most urgent problems after disaster. He also emphasized that community relationships matter greatly, because outside help may not arrive immediately. Mutual support begins with everyday neighborhood ties.

技術系支援が支える生活再建

技術系が支える被災現場

藤丸氏の活動は、人命救助の補助だけにとどまりません。 道路啓開、屋根の応急処置、土砂撤去、床や壁の解体、水道復旧、車両や農機具の救出、 エアコンや給湯器の再生、炊き出しまで、生活再建に必要な幅広い場面に関わっています。

床板、壁めくりの活動状況

たとえば屋根被害では、単にブルーシートをかけるだけではなく、 状況に応じて土のう袋や農業用資材を使い分け、少しでも長く雨を防げる方法を選択しているそうです。 水害後の家屋では、床下に点検口をつくり、泥を出し、乾燥させ、シロアリ被害を防ぐところまで見据えて作業します。 「ただ片付ける」のではなく、「次に直しやすい状態へつなぐ」ことが重要だという視点が伝わってきました。

また、水道の復旧についても、単なる配管修理では終わりません。 簡易水道の地域では、水源から生活水を引き直す作業そのものが住民の暮らしを支える命綱になります。 水が再び出るようになった時、住民が涙を流して喜ぶ姿も紹介され、 水の復旧がどれほど大きな意味を持つかが強く伝わってきました。

「水ってね、ほんまに何ヶ月も出えへんかったら、みんな水つながった時泣きますよ」 “When water has been unavailable for months, people cry when it finally comes back.”
被災した水道・排水管の修繕

屋根養生、水道復旧、床下作業など、生活再建には高度な実務技術が求められます。

English Summary

Technical support is essential for recovery. Mr. Fujimaru described roof protection, debris removal, floor and wall work, water restoration, vehicle rescue, and equipment recovery. These are not small tasks; they are the practical foundation of rebuilding daily life.

炊き出しと現場装備が命をつなぐ

現地にて役立ったもの

現場で役立ったものとして、ポータブル電源、発電機、ジャッキ、ロープ、工具類、 タイヤチェーン、そして簡易トイレなどが挙げられました。 いずれも派手な装備ではありませんが、被災地で「今すぐ必要になるもの」ばかりです。

さらに、炊き出しの重要性についても具体的な話がありました。 大型の鍋や調理器具があれば、多人数分の味噌汁や食事を一度に提供できます。 温かい食事は栄養面だけでなく、被災者の心を支える意味でも大きな力になります。 災害時の備えとして、自治体や地域団体がこうした設備を持っておくことの有効性も語られました。

English Summary

He also introduced practical tools that proved useful on site, such as portable power, generators, jacks, ropes, and emergency toilets. Warm meals from mobile cooking equipment were also important, because food supports both physical survival and emotional recovery.

講演を通して見えてきたこと

災害は待ってくれない

藤丸氏の講演から見えてきたのは、災害対応とは単なる「応援」ではなく、 命を守り、その後の暮らしを立て直すための総合的な営みだということです。 避難、記録、衛生、住まい、水、道路、設備、近所のつながり。 そのどれが欠けても、被災後の生活は大きく揺らぎます。

そして、その現実を前にした時に必要なのは、 平時からの備えと、自分たちの地域で支え合う力です。 行政や外部支援が届くまでの時間をどう乗り切るか。 その差を生むのは、個人の備えだけでなく、地域の関係性そのものだと改めて感じさせられました。

「自助力、共助力をもっと強くしていってください」 “Please strengthen both self-help and mutual-help in your community.”
微力であっても無力ではない

南海トラフ地震をはじめ、四国でも大規模災害への備えが現実的な課題となる中で、 今回の講演は「もし起きたら」ではなく、「起きる前に何をしておくか」を考える貴重な機会となりました。 災害を乗り越える力は、特別な誰かだけが持つものではありません。 日頃の備えと、地域のつながりの中で育てていくものなのだといえます。

English Summary

The lecture showed that disaster response is not just about rescue. It is about protecting life, preserving dignity, and rebuilding daily living. Preparedness, technical skills, and community trust all work together to create resilience before the next disaster arrives.

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